ポルケッタ

~ ポルケッタは永遠に

 

ポルケッタは、発祥地の候補地がイタリア中部全域に広がっていて、

どの地方の料理とは言い切れない料理である。

ローマがあるラッツイオ然り、ペルージャがあるウンブリア然り。

他にもマルケ、アブルッツオ。

そして、無論フィレンツェがあるトスカーナも。

 

ポルケッタと聞いて大抵の人がまず頭によぎるのは、豚を使ったものだと思う。

豚1頭をまるまる使う豪快な料理だ。

中にローズマリーだったり、ウイキョウの花を乾燥させたものだったり

香草を入れてエイッ!とひと巻きオーブンで皮目がパリッパリになるまで焼く。

ゴリゴリと端っこを切り落とすと、中はふっくらジューシに仕上がっている。

それを薄くスライスしてパンの上にモリモリ乗せていく。

パンのサイズなどお構いなしと言わんばかりに、肉が両サイドからはみ出している。

何故、ジーパンの横からはみ出す肉は、親の仇のように憎らしいのに

ポルケッタのパニーノからはみ出る肉は、このように愛おしいのか。

 

屋台のオヤジ(時にきれいな女の人もいる)からポルケッタを手渡されたら

迷わず豪快に食らいついてほしい。

ガブリ、ムシャムシャ。

ガブリ、ムシャムシャ。

咀嚼とはなんと甘美な動作なのだとうっとりしてしまう。

肉、パン、時々ソース。

ハッと我に返った頃にはポルケッタの魔法は解け、

手元には空の包み紙だけが残っているに違いない。

 

Porchetta  is forever

She is all I need to please me

ポルケッタは永遠に

それだけで俺は満足だ

 

と、かのジェームス ボンドをも言ったとか言わないとか。

アッ、あれはダイヤモンドか。

 

いやいやどうして

一度食べてみたらダイヤより凄い価値見つけちゃうかもよ。