ランプレドット

~ 牛の胃袋にあなたの胃袋つかまれても当店は責任を負いかねます。

 

ランプレドットとは、トスカーナ州フィレンツェの郷土料理であり

フィレンツェのストリートフードを代表する食べ物である。

 

フィレンツェの街を散策すれば、身体の奥底から感動が溢れ出るような美しい建築物にお目にかかれるが、

それと同じようにランプレドットの屋台も見逃せない。

フィレンツェに住む人は皆一様に自分のお気に入りの場所を持っている。

友人同士でランプレドットの話など始めたら最後、

「私が。」

「いえ、私が。」

と皆自分の贔屓の店の事を話したがる。

それもそのはず、それぞれの屋台にはそれぞれの味があり、

どれをとっても同じものなど無いのだから。

 

ご存じの方も多いと思うが、ランプレドットとは牛モツである。

牛の第4番目の胃、ギアラを野菜をたくさん入れたスープで柔らかく煮込み

それをパニーノ(イタリア風サンドウィッチ)にしたり、

バスケッタと呼ばれる(言わば御膳のようなもの)、

ランプレドットとパンが別盛りになっているもので食すのが定番だ。

味付けは、塩コショウ。

そして、要となるサルサヴェルデ(パセリをベースにした酸味が効いたソース)と

ピッカンテソース(赤唐辛子のペーストやオイル)を好みで足してもらう。

これを屋台の軒先だったり、公園のベンチだったり街のどこかで頬張るのは

お腹の底から笑いが込み上げてくるほど美味い。

時と場合によっては、星付きレストランのランチなど足元にも及ばないほどである。

 

柔らかーくに煮込まれたランプレドットを噛むと

ジュワーっと口の中にモツの甘みが広がる

そこにサルサヴェルデの酸味が引き立ち、ピッカンテソースの辛みでフィニッシュ。

でもって、プラスティックのコップに入った赤ワインを一口喉に流し込む。

サイコーかよ。

 

誰だい?

「言っても牛の胃袋でしょ。」なんて言ってる人は。

牛の胃袋にあなたの胃袋つかまれちゃっても知らないからね。